シャント狭窄
シャント血管に対する様々なストレスが原因で、限局性もしくはびまん性にシャント血管が狭くなることがあります。
本来、ほとんど血圧がかかっていなかった静脈に動脈の圧がかかることで、シャント血管の壁が厚くなったり、繰り返しの針刺しや静脈弁部の乱流が原因となって狭窄をきたすこともあります。狭窄が進行すると血流悪化や返血圧上昇、止血不良の原因となります。
治療が必要な狭窄に対しては、主にカテーテル治療(PTA)で対応することが多いですが、状況により手術治療が必要になることもあります。
シャントのトラブルとしては、「シャントが刺しにくい」「うまく血流が取れない」「返血時の圧が高い」「抜針後の止血に時間がかかる」といった一般的にシャント機能不全と言われるトラブルがあり、これらは『シャント狭窄』や『シャント閉塞』などが原因となっていることがあります。さらには『シャント瘤』『シャント感染』『静脈高血圧症』『スチール症候群』『過剰血流シャント』などのシャントに関連した病的なトラブルがあります。以下、それぞれについて説明します。
国府駅、豊川駅からお越しの方は
タクシーをご利用いただけます。
領収書をお持ちください。
※アクセス関連の手術・治療を行う方が対象です。
詳しくは当院までお問い合わせください。
【受付】9:00-12:00/
13:00-17:00
お気軽にお問い合わせください。
シャント血管に対する様々なストレスが原因で、限局性もしくはびまん性にシャント血管が狭くなることがあります。
本来、ほとんど血圧がかかっていなかった静脈に動脈の圧がかかることで、シャント血管の壁が厚くなったり、繰り返しの針刺しや静脈弁部の乱流が原因となって狭窄をきたすこともあります。狭窄が進行すると血流悪化や返血圧上昇、止血不良の原因となります。
治療が必要な狭窄に対しては、主にカテーテル治療(PTA)で対応することが多いですが、状況により手術治療が必要になることもあります。
シャント血管内に血栓の塊を形成したり、血管そのものが全体的に細くなったりして閉塞することがあります。
血栓形成の原因としては狭窄以外に血圧低下や脱水なども考えられます。
閉塞すると透析ができなくなりますので、カテーテル治療や外科的に血栓除去を行います。場合によってはシャント再建が必要なこともあります。
シャント血管が発達する過程で部分的に血管が膨らんで瘤化したり、同一部位への針刺しなどが原因で瘤を形成したりすることがあります。
自然に破裂することは稀ですが、急に大きくなったり、瘤壁や皮膚が薄くなったりした場合は手術による治療が必要になることがあります。また、シャント瘤に感染が絡んだ場合は破裂の危険性が高くなります。
透析では1回の治療で通常2回の針刺しを行います。透析は週3回行うのが一般的なので、1週間で6回は体外と交通することになります。そのため、皮膚の衛生状態が悪かったり、針刺しの手技が不潔だったりした場合に、シャント血管が細菌に曝露され感染することがあります。
自己血管シャントの場合は細菌に対する抵抗力がありますが、人工血管シャントの場合は、抗生物質を投与しても通常は治癒しません。多くの場合、感染した人工血管を取り除く手術が必要となり、感染が治ったのちに新たなシャントなどのアクセスを作る必要があります。
そのためシャント感染では患者さんや透析室スタッフの負担が大きくなるので、感染しないように日々のシャント管理がとても重要になってきます。
シャントの流れが多過ぎたり、狭窄や部分閉塞などで滞ったりした場合に、シャント血管(静脈)の圧が上昇して手や腕全体が腫れることがあります。この病態を静脈高血圧症と言います。
治療はシャント血流を制御したり、狭窄や閉塞部分をカテーテル治療で解除したりしますが、場合によってはシャント再建手術やシャント閉鎖が必要になります。
シャントは動脈と静脈をつないで作製しますが、静脈は壁が薄くて柔らかいため抵抗が少なく、動脈の血液がどんどん静脈へ流れ込みます。
そのため、例えば手首で動脈と静脈をつないだ場合に、手首より末梢側の手指血流が悪くなり、指の色が悪くなったり痛みが出たり、時には壊死に至ることもあります。このような血流がシャントに取られる(盗まれる)病態をスチール症候群と言います。
通常、抹消の血流が低下しても日常生活に支障が出ることは少ないのですが、重度の動脈硬化の患者さんなどはスチール症候群を合併するリスクが高くなります。
治療としてはシャント血流を制御するなど様々な方法を検討しますが、シャント閉鎖が必要になることも多い病態です。
一般的に透析治療に必要なシャント流量は、500~1000mlですが、シャントの発達が良すぎて2000~3000ml以上も流れている患者さんがいます。そのような高流量のシャントを「過剰血流シャント」や「ラージシャント」と言い、心臓に負担がかかったり、相対的に脳など他の臓器血流が減少することがあります。
しかし流れ過ぎの大きなシャント血管は、透析室スタッフにとっては刺しやすいシャントであり、また患者さんにとっても自覚症状が無いことが多いため、気付かれずに放置されていることがあり注意が必要です。
治療の適応や治療方法は患者さん個々の状況によって変わってくるため、過剰血流を疑った場合は、アクセス治療の専門施設などへ相談することが必要です。
シャントの痛みの原因は様々なものがありますが、透析中に時間の経過とともに出現してくる痛みの場合は、シャント血管に近接した神経が原因となっていることがあります。
その際はエコーガイド下にシャント血管と神経の間へ麻酔薬や生理食塩水を注入することで(神経液性剥離術)痛みが消失することがあります。透析中のシャント痛の際はご相談下さい。